放射能汚染ほんとうの影響を考える フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか

新刊書籍 New!
放射能汚染ほんとうの影響を考える
フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか


慈恵 分子疫学研究室
2012年02月21日
東京マラソン New!

2月26日東京マラソン(フル)走ります。
写真(後ろ)のようなTシャツと黒の長ズボンを着て走ります。気が付いたら声をかけてください。


2012年02月21日
平成24年度 慈恵クリニカル・リサーチ・コース New!

慈恵クリニカル・リサーチ・コースも今年で12年目を迎えました。バイアスなど疫学を実践するのに不可欠なエレメントについて解説し、実際のデータとSTATA統計ソフトを用いながら図表を作成する「疫学コース」に加え、アウトブレイクなどの健康危機管理対策を中心テーマとする「危機管理コース」創設しました。具体的には、2009年インフルエンザパンデミック、鳥インフルエンザ、スペイン風邪、SARS、ドイツ病原性大腸菌O104、HIV、結核など健康危機管理対策に関係する事例を使いながら、初期における疫学調査の重要性を中心的テーマとして扱います。

お申込みは以下のホームページからお願いします。

疫学コース
危機管理コース


2011年10月24日
書籍訂正のお知らせ

自書「放射線汚染 ほんとうの影響を考える」で訂正があります。
p35, p60, p74, p76 です。読者の方から御教示いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。


2011年08月09日
放射能汚染ほんとうの影響を考える 刊行記念トークショー

8月12日(金)19時(18時30分開場)からジュンク堂書店新宿店8階カフェにて「放射能汚染ほんとうの影響を考える」(化学同人)の刊行記念トークショーを行います。

電話予約は03-5363-1300 です。皆さんのご来場をお待ちしています。

放射能汚染ほんとうの影響を考える 刊行記念トークショー(PDF)


2011年08月01日
放射能汚染ほんとうの影響を考える フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか

「放射能汚染 ほんとうの影響を考える。フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか」という本を化学同人から出版しました。
小児がん医療にたずさわり、疫学も学んだ経験から、今回の福島第一原発事故についてどう考えるかを述べたものです。
興味のある方は是非どうぞ。

ご購入希望の方は
Amazon.co.jp: 放射能汚染 ほんとうの影響を考える: フクシマとチェルノブイリから何を学ぶか (DOJIN選書): 浦島 充佳: 本


2011年07月14日
子どもの健康リスク

現在福島原発から放出される放射線の影響、特に小さい子どもをもつ母親は「暑いけれどもそとにでるときは長袖、長ズボンがよいか」「どの食品を食べさせたらよいのか」といったことを心配しています。チェルノブイリの原発事故を見る限り、明らかに増えたのは子どもの甲状腺がんだけでした。しかもその要因は牛乳、粉ミルクに日本よりはるかに多い量が混ざっていたヨウ素131と云われています。ヨウ素131の半減期は8日と短く、大量放出後2〜3週の初期対応にかかっています。一方、セシウムによって増えた癌はありませんでした。現在環境中の放射線源は主にはセシウムです。そのため、セシウムによる発がんリスクはゼロとは言いませんが、皆が心配するほどでは全くないと思います。

先に述べたチェルノブイリで増えた甲状腺がんも、2005年の段階で6000人以上が発症しましたが治療により99%以上が生存しています。甲状腺がんは被曝してから5年目くらいより増え始め、十数年でピークを迎え、まだ発症はあるもののその数は減少傾向にあります。そのため、チェルノブイリ原発事故の被曝が明らかな原因で癌になりかつ死亡した人の数は20年間で十数人です。

私が心配するのは、子どもに洋服を着せすぎて熱中症になってしまうリスクであったり、子どもが家の中に閉じこもることによって体力や抵抗力を落とし、感染症や怪我、病気に対抗する力を落としてしまう方です。また親の放射能不安が子どもの情緒面に与える悪影響です。2008年日本では5歳未満の小児3622人が死亡しています。その内訳は下痢(46人)、髄膜炎(15人)、肺炎(225人)、他の感染症(407人)、未熟児(321人)、新生児仮死(178人)、新生児敗血症(66人)、先天奇形(1400人)、非感染症(577人)、外傷(387人)でした(Lancet 2010: 375; 1969-1987)。

現代の日本において、感染症で数百人、熱中症などを含む非感染性疾患でも数百人、事故や虐待を含む外傷で数百人の命が毎年失われているのが現状です。逆に我々はしっかり予防すれば、およそ1000人以上の子どもの命を救えるかもしれないのです。

福島第一原発もまだ不安定ですので、ニュースなど注視する必要はあると思います。また放射能を含むものを子どもに食べさせるということは母親にとってどんなにストレスかということも理解できます。しかし私たちの暮らす世の中は子ども達にとって他にも多くのリスクが存在することも認識していただきたいと思います。


2011年07月04日
グローバルヘルスコース

9月9日(金)19時〜21時、5回シリーズで「グローバル・ヘルス」の公開講座を開設します。グローバル・ヘルスは、グローバルレベルでの人々の健康課題、あるいはそれについて研究する公衆衛生、疫学、医学、人類学、開発経済学、政治学、社会学などの複合的な学問領域を指します。ですから、本講習では、医療関係者に限らず、行政、ビジネス、メディアなど幅広いフィールドからの参加を期待しています。
詳細、申込は以下のホームページよりどうぞ。

http://docrd.jp/seminar_detail.php/1295071844/


2011年05月02日
本の出版予告

福島原発事故、特に子どもの健康リスクについてチェルノブイリ原発事故後25年のエビデンスや広島・長崎原爆のエビデンスを引用しつつ執筆中です。

初回脱稿は終わっているのですが、出版は7月末になりそうです。

ただ日常診療の中でも子どもをもつお母さん方から子どもの健康に関して多くの質問を受けます。そこで、出版に先立ち、すぐに役立ちそうな話をPDFで掲載いたします。

【2011年5月6日修正】 子どもの健康に関して(195KB)


2011年04月11日
チェルノブイリは放射能をどう封じ込めたのか?

現在執筆中の内容より抜粋

---- 第3号炉からのパイプラインを通じて液体窒素で反応炉を冷やしたのである。このことは火を消し止め、核分裂している物質をより安定させ、”突然”という言葉が当てはまるように放射線の放出を停止させたのだった。------

--- 8日の時点では、この放射性の燃料が反応炉をつきやぶって下まで漏れてきている(FigureI)。これが水平方向に広がり、更に放射性物質の放出を増す原因となったのだ。そして、圧力抑制室に残る水と反応して蒸気を発生させ、10日目の放射性物質の放出の更なる増加につながったと考えられている。---

福島原発事故の事態解決に向け、何かのヒントになればと思い、掲載します。

チェルノブイリは放射能をどう封じ込めたのか?(282KB)


2011年03月25日
3月11日の地震から2週間が経ちました。

2011年3月14日、15日に記載したときとは異なり、福島原発の放射能漏れの状況も、少なくとも「今後どうなるか判らない」という状況ではないように感じます。原子炉専門の方のコメントでも再臨界というシナリオは考え難いとのことです。だとすれば、核災害に関する過去の事例等を提示することはかえって人々に不安を与えてしまうと考え、削除させていただきました。

現在の多くの方の懸念は内部被爆(放射能を含む特に131ヨード、137セシウムを空気、水、食物から取り込む体内で放射線暴露を受ける状態)と思います。

1986年4月のチェルノブイリ原発事故では当時10歳以下の子ども(特に女児)で数年後に甲状腺がんが増えました。これは、放射線をもつ131ヨードが特に牛乳などから摂取されたためと云われています。成長期にある小児、特に乳幼児では甲状腺ホルモンを作るために必要なヨードが大人の数倍取り込まれるためです。


しかし以下の点に着目する必要があります。

1.内部被爆が多くても、ほとんどの子どもは甲状腺がんにならなかった。
放射線をもつ131ヨードが甲状腺にとりこまれます。放射線は遺伝子を傷つけます。およそ3万ほどある遺伝子のうち、細胞の増殖を抑える遺伝子(車で云えばブレーキ)を偶然細胞の遺伝子に傷をつけてしまうことにより癌になります。逆に、大多数の遺伝子は傷が入っても、その部分を自己修復するか細胞が自爆するなどして癌にはなりません。そのため、内部被爆があったからといって癌になることの方がむしろ希なのです。

2.成人の癌リスク増大は認められなかった。
2008年国連の調査チームは、そのように結論付けています。もちろんまだチェルノブイリ原発事故(1986年)以降25年しか経っていないので、継続的に注視する必要はあると思いますが、少なくとも喫煙の発癌リスクよりはるかに低いはずです。

3.奇形の子どもも増えなかった。
爆発以前と比べて、爆発時に妊婦だった女性から奇形の児がより多く生まれたという事実は確認されていません。


教訓

1.成長期にある子どもを守る
チェルノブイリ原発事故の際、現在日本で行われているような放射能の調査、検知された食品の摂取制限などは行われていませんでした。そのことが、数年後の小児甲状腺がん増加 という事態を引き起こしたと思われます。だとすれば、国の基準値を超える食事や水を子どもに与えないようにすれば、この甲状腺がんのリスクを抑えることができるはずです。

2.ネガティブ思考に陥らない
チェルノブイリ原発事故は、地域住人に癌をもたらしたのではなく、社会の混乱と不信感を招いただけでした。
現在の日本もそうなりつつあるように感じます。被災地の人達、小さい子どもをもつ家庭の不安や懸念を自分のものとし、それに立ち向かおうとする気概を皆が自覚することによって、事態をよい方に向かわせることができるものと信じています。


 
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