会場からは、摂取制限値があっても結局は受け入れる人と受け入れられない人はそのままではないか。摂取制限値を決めてもそれが独り歩きするのではないか。安全安心を確保するならば福島県だけが測定せず全国でも測定すべきで、全国で測定するなら摂取制限があっても良い。摂取制限値があれば、周りの雰囲気で食べられなかった人が食べられる切っ掛けになるのではないか。というご意見があった。
次いで、「食卓に並ぶことで子供が食べてしまう?」の質問に対し、いわき市から参加された情報処理の専門家で東電福島第一原発事故以降、測定を正しく丁寧に続ける事で地元のお母さんたちを支えている方からのご意見は、売っている食品も測定して放射性セシウムが検出しないと確認できて安心を得ている。
まだまだ恐怖心が消えていない。γ線だけでなくβ線も測定するべきだと言う意見もある以上、摂取制限値の目安としての1,000Bq/kgは受け入れる事は困難だと思うと示され、むしろ、1,000Bq/kgと言う濃度ではなく、総量の提案は出来ないのかとのご質問が登壇者へ出され、「おとな1,000Bq/kg、子ども100Bq/kgで良いのか?」の議論へ移った。
この質問にはドブジンスキ氏より、生物学的に総量での管理は、実際的はないとの見解が示され、越智医師より補足説明として、例え話として血液を3リットルを一度に抜くのと少量ずつ抜くときの人体への影響を考えるとやはり総量での管理は無理があるだろうと示された。この示唆に対し、会場から高濃度の汚染による被ばくが想定できない現状があるのだから、WBC(ホールボディーカウンター)を活用する意味でも、きちんと測定して管理すれば総量規制も可能ではないかとの提案が出された。これに赤青カードで確認を取ると8割が青カードを示す中、赤カードを示した方より、一年に数度しか食べないものは自己責任で食べて良いと思う。けれども、おとなが1,000Bq/kgで子どもが100Bq/kgと言う摂取制限数値を導入するという飛躍することに判断はできないというご発言があった。また、他の方より、そもそも子どもは山菜などを好んで食べないので、一律に決めないで、流通しているものと野生のものは分けて考えるべきだろうとのご発言があった。
司会者より、現在の摂取制限はイノシシやキノコの対象市町村を見ると汚染レベルとは全く整合性はなく、現状が考慮されないまま制限されている※7との推察が述べられた。
(注・原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等:平成27年2月20日現在)
原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等
食品中の放射性物質への対応 - 厚生労働省
この摂取制限を取り下げてもらい、自己責任としてWBCを活用して自己管理すべきかという司会者から会場への問いには、青カードだけが確認された。(全員が挙げてはいない)
次いで、「この基準による補償への影響はどうか。周囲に悪影響を与えたら申し訳ない」の問いがあった。出荷制限の農作物は、作付出来ないので補償を受けているし、東電福島第一事故前の価格で売れないものは風評被害として補償を受けているのでイニハナご飯を食べたからと言って補償への影響はない。
考え過ぎ、むしろイノシシは増え過ぎているのだから食べた方が良いという意見も出された。これに対して、司会者から、捕獲したイノシシが焼却処分にされていることに、ハンターのみなさんから食べて供養するというマタギの精神に反する行為だと言う意見があった。
シンポジウムの最後にこれまでの議論を踏まえて、司会者から「摂取制限を取り下げてもらうことを提案する(食品安全委員会に提出)」について、赤青カードで意見を求めたところ、青だけが挙がりこれを着地点とした。(会場全員が青カードを挙げてはいない)
結論
出荷制限値は厳守する前提で、「摂取制限を取り下げてもらうこと(制限解除)を提案する(食品安全委員会に提出)」を会場に集まったみなさんの総意とした。